世界の風力発電の導入状況
2009年末の段階で、世界全体の風力発電総設備容量の合計は159,213MWになりました。前年からの成長率は31.7%と2001年以降最も成長している段階にあり、3年で約2倍の成長を続けています。
2009年、風車事業によって取引された金額は500億€(6兆2,500億円)と算出されています。
世界で約55万人が風車事業に関わっており、2012年には100万人に昇ると予測されています。
2009年末までに世界中にある風車の生産したエネルギーを合わせると、340TWhとなり、イタリアで1年間に消費するエネルギーと同等の量になります。これは世界の総消費量の2%に相当します。
WWEAは更なる技術の進歩と政策の変化を考えた上で、2020年には1,900,000MWh(1.9TWh)の電力が風力発電によって生み出されると見込んでいます。
国別でみると、トップはアメリカで35,159.0MWの導入量で、世界全体の約22%を占めています。
アメリカの後には中国、ドイツ、スペイン、インド、イタリア、フランス、イギリス、ポルトガル、デンマーク、
カナダ、オランダ、日本(第13位)と続きます。
出典:world wind power energy report 2009
出典:world wind power energy report 2009
出典:world wind power energy report 2009
日本の風力発電の導入状況
では、日本における風力発電の状況について詳しく見てみましょう。 2010年3月末の段階で設備容量の合計は2,180MWを超え、設置基数1,683基を達成しています。また、1基当たりの平均設備容量は、2004年度末から1.0MW/基を超えており、主要な風力発電先進国と同様に風車の大型化が進んでいます。
日本の風力発電の歩みは横浜のフェリスの赤い風車にはじまりました。70年代後半よりNEDOや電力会社などによる試験研究が行われるようになり、90年代に入ると先進的な自治体の挑戦によって、少しずつ実用化が進んでいきました。そして今日のような大規模な風力発電施設がつくられるようになったのは97年〜98年以降といえます。その後次第に法律も整えられるようになり、現在の状況に至っています。
出典:NEDO「日本における風力発電設備・導入実績」
出典:NEDO「日本における風力発電設備・導入実績」
出典:NEDO「日本における風力発電設備・導入実績」
世界・日本の風力発電のこれから
世界規模でみると「2030年までに総電力需要量の20%を風力発電で担う」という目標を立てています。アメリカでは2030年までに20%、中国では2020年までに10%、EU全体では2020年までに20%という目標を立てています。このように風力発電は世界的に大規模な実用化が進んでいます。
一方、日本でも2010年内に3,000MWの風力発電の導入を目指し、そして2030年までに30,000MW・総電力需要量の3.4%、2050年までには50,000MW・10%を担うという目標を立てています。
この目標を達成する為、現在主要となっている陸上風力発電と併せて洋上風力発電の導入を促進し、2050年までに陸上を25,000MW・洋上を25,000MW導入する計画が進んでいます。
洋上風力発電の利点としては、まず、陸上よりも安定した強い風を見込めるということが挙げられます。
更に、建設に際しての効率化、騒音・低周波・景観問題の抑制なども挙げられます。
また発電設備の建設に伴う港湾整備による雇用促進や、風車基礎の魚礁利用化などによる地元産業との協力も考えられ、地域を活性化するきっかけにもなります。
日本における風力発電はまだまだ大きなポテンシャルを秘めています。国内の風力発電に適した全地域(陸上+洋上)に風車を建てることができた場合、現在の全発電設備容量の約3.87倍もの電力を得られると言われる程、日本は風資源に恵まれているのです。
出典:日本風力発電協会「風力発電長期導入目標とロードマップV2.1」
:日本電機工業会機関誌「電機No.742」
出典:日本風力発電協会「風力発電長期導入目標とロードマップV2.1」